歪曲骨家。

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私立永遠星学園高等部生徒会資料3

参冊目

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少し『躯持ち』について話そうと思う。

『躯持ち』とは、前に話したとおり『特殊能力者、及び特異体質者を総称したもの』だ。さらに『躯持ち』は、主に二つの種類がある。一つ目は先天性のもの、つまり生まれつきのものだ。二つ目は後天性のもの、これはいわゆる突然変異だ。『躯持ち』は、圧倒的に後者のほうが多い。多くは心因的なもの、トラウマによる能力の発現だ。

例えば、高等部生徒会会計を務める、木林 森。彼は、小学校の卒業登山で一人はぐれて遭難し、命の危機に陥った。

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わずかに残る雪が拙い体温を奪っていく。リュックサックにはチョコレートが入っていたはずだが、それに手を伸ばすほどの体力さえ残っていない。幸い空は晴れて日が照っていたが、山の天気は変わりやすい。ここで終わる人生なのかもしれない。そう思っていた時、突然右手の甲に一本の木が生えた。

生えた木はみるみる大きくなり、枝分かれし、太陽に向かって伸びていく。光合成で失ったエネルギーを補完し、彼は翌朝まで生き延びて、無事救出された。

彼の二つ名は、『甲庭』。彼の右手の甲には、副作用としてなのか、能力の象徴なのかはわからないが、一本の木が生えている。

 

俺は、地獄谷 えんまも後天性の『躯持ち』なのではないかと考えている。

 

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蛍はチビだ。女の私よりも頭一つ分くらい小さい。いつも「牛乳飲めば。」って言ってるけど、一向に飲まないから牛乳嫌いなのかもしれない。小さいほうがいいとは思わないってカマキリ言ってたし。

バニーの衣装を脱ぎながら考える。なにこれ、引っかかって脱ぎにくい。よく考えたら、頭にうさ耳をのっけたままだった。慌ててうさ耳を取り外し、バニーを脱ぐ作業に戻る。

朝早く制服で登校し、誰もいない教室で日替わりの衣装に着替える。布教が終わったら今度はトイレで着替えるか、更衣室を利用する。それが地獄谷 えんまの日常だった。日々、なれること。日本全国の学校へ小学校の頃から転校を繰り返し、布教してきた。今では蜘蛛の糸もキリスト教に次ぐ大規模教団となっている。

この話は蛍以外には内緒だが、私は陰で呼ばれている『強祖』の二つ名の通り、

 

『教祖』だ。

両親が教団を立ち上げ、父親が初代教祖を務めた。私は2代目。小さい頃から布教のいろはを両親に叩き込まれ、私も両親のためになればと全て受け入れてきた。

今の教団は、私たち家族の遺産。

 

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 えんまの特殊能力は、『強い』それだけだ。わざわざ勝負したとかではないが、生徒の目撃証言からしてそうなのだと思う。

男子が投げたボールにあたってもビクともしなかったとか、スリーポイントを決めたとか、やり投げで新記録を出したとか、そんな他愛もないことだが、女子にしては異常な身体能力だという。

地獄谷 えんまは転校生だ。生徒会室にある全校生徒の資料にも書いてあるが、この学校に来たのは2ヶ月前。来た当初からえんまの身体能力には注目されていたから、ここに来る以前からあったものなんだろう。だが、資料には特記されていない。『躯持ち』の場合は、特殊能力の内容など詳細を特記しなければいけないことになっている。

さらに、『躯持ち』は生徒会への入会を義務付けられる。入会の義務付けについては諸説あるが、『躯持ち』だという理由でいじめられないようにとかそのへんだろう。それゆえに『躯持ち』の存在を知っているものも限られる。

地獄谷 えんまは、自身が『躯持ち』であることに気づいていない。

そうに違いない。

 

参冊目fin.

柏餅食べたくなってきた。

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