歪曲骨家。

創作小説置き場です。

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私立永遠星学園高等部生徒会資料6

六冊目

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「生徒会に入らないか?」

理由はもちろん、『躯持ち』の件だ。えんまが『躯持ち』ならば生徒会に遅かれ早かれはいらなければいけない。なら早いほうがいいと考えたまでだ。

もっとも、本人の合意、確認の上でだが。

「なんで?」案の定、理由を訊いてきた。

「『躯持ち』って知ってるか?」

「知らない。なんなの、それ。」えんまは転校生だ、知らなくて当たり前かもしれない。

「『躯持ち』とは簡単に言うと、特異能力者、特異体質者のことだ。そしてこの学園では、『躯持ち』は生徒会に入ることが義務付けられている。」

「じゃぁ、カマギリも、その『躯持ち』ってやつなの?」そう考えるのが普通だろう。

「いや、俺は一般人だ。生徒会長の椅子が空いてたんで、立候補したけど他にやりたいやつもいなくて難なく当選。」

「で、今私が生徒会に誘われてるってことは、私は『躯持ち』だと思われてるの?」

「そうなるな。女子にしては異常な身体能力、噂じゃ『強祖』って呼ばれてるらしいじゃん。実は男とか?」なははと笑ってみたが、えんまから返ってくるのは沈黙だった。

やべ、言いすぎたか……? 気を揉んだのも数秒、えんまが沈黙を破った。

「私、『躯持ち』じゃないよ。」

「どうして言い切れる?」考えるより先に口が動いていた。

「だって私、本当に『教祖』だから。」言ってる意味がわからない。『強祖』なのは俺が言ったことじゃないか。それともいつも配ってるチラシの教団の『教祖』だってのか?

 

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「だって私、本当に『教祖』だから。」両親にはあまり口外しないようにと言われているが、誤解を解くためだし、カマギリだし、何かいいかと思えた。

私は、新興宗教『蜘蛛の糸』2代目教祖。その事実は揺らがない。さらに様々の学校での宣伝活動により、ここ数年で教徒は急増、今では大規模教団の一角をになっている。教祖、といっても要は看板で、大事な祭りや決め事などはほとんど両親が行っている。

「『教祖』って、『蜘蛛の糸』のか?」えんまが関わっている教団は『蜘蛛の糸』ぐらいだろう。かけもちとかだったら驚きである。

「うん。父さんが初代教祖で、私は2代目。」サラっと言ってのける。

「それと強いのと何の関係があるんだ?」教祖は命を狙われているとか? まさかな。

「教祖、それも大教団のなら余計に命を狙われる。私は生まれた時から教祖になることが決まっていた。子供の頃から少しづつ毒になれ、様々なトレーニングを積んだりして、今に至る。」まさかな……? 冗談だよな……。教祖スケールデカ過ぎだろ。

「特異能力じゃない、と。」こんなことってあるのか。教祖ね……。

「そゆこと。だから入らなくていいよね、生徒会。」そんなに入りたくなかったのだろうか。「ん、まぁ……。」えんまは、おろしていたカバンを拾い上げて入口に向かって歩きだした。帰るつもりらしい。

「じゃぁ、またあした。」そう言ってえんまが引き戸に手をかけた時、「バンッ!!」何かが爆ぜるような音がした。

「なっ!?」思わず声を上げると、とたんに息が苦しくなる。呼吸がままならなくて、激しく咳き込んだ。片目を開けてえんまを見るが、彼女は平然としていた。それどころか、カバンをゴソゴソやってマスクを取り出すと、俺に投げてよこした。

「なん、……こっ、れ?」『なんだよこれ?』と言いたかったのだが、うまく言葉にならない。だんだん息が吸えなくなってきた。

「ないよりはマシだと思う。しといて。」なんでえんまは平気なんだろう。これも教祖のなせる技か。

「い、ゃ……で、も。」「死にたいの? 肺に水が溜まって、窒息死するよ。」おとなしくマスクを付ける。呼吸が少し楽になった。でも頭がだいぶ朦朧としている。

「扉は?」なんとか脱出できないかと、訊いてみる。

「だめ。鍵がかかってる。」鍵は俺が持っているものと、職員室にスペアがある。おそらくそれを使ったのだろう。鍵は外からしか開かない。脱出は不可能だ。

それにしてもなんだろう、これは。毒の類とは違う気がするが……。

「水蒸気だね。」「水蒸気?」やかんから出てるあれか?

「今この部屋の湿度はおそらく100%を超えてる。窓も工事用のやぐらで塞がれてる完全な密封状態。一箇所で水を温め蒸発させたものを、瞬間的に爆発させれば、不可能でもない。」スラスラと説明するえんま。この状況で落ち着いていられるとは、教祖って何者なんだ。それくらい場数を踏んでいるということか。

「なんでこんなこと……。」えんまはまるで平気だ。俺は瀕死だが。

「私は命を狙われてるの。これで分かった?」平然と言い放つ。

「誰がやってるとか、目星はついてるのか?」俺を死の危険に晒している奴は。

「うん、一応。でも……。」そこで一旦言葉を切ったえんまは、うつむいて続ける。

「ライバル教団の教祖なんだけど、メディアへの露出もないし、謎に包まれた人物なの。つまりは、分からいのが正直なとこ。」教祖自ら仕掛けてきてるのか……。タイマンでもはればいいのに。 俺がぼそぼそつぶやいていていると、「そんなに単純な話じゃないの。」咎められてしまった。いろいろ大変なんだな。

「とりあえず、水蒸気がある程度水に戻るまで待とう。」俺は頷いて、這いつくばっていた姿勢から座り直した。長期戦か。

水蒸気を吸った服が重たい。しばらくは立ち上がれそうにもなかった。

 

六冊目fin.

今回は挿絵なしで……(´・ω・`)

AUTHOR: ab-kanade-love-07-01 DATE: 10/05/2012 20:24:55 教祖様怖いよふぇぇぇぇ((
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