歪曲骨家。

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私立永遠星学園高等部生徒会資料11

十一冊目

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それからはもう、全速力で走る気にもなれず。だってもう遅刻確定だし……。振り返ると、俺の5mほど後ろに蛍もついてきている。身長が低くて歩幅が狭いから、俺と同じスピードで歩いてるつもりでも、自然と距離があいてしまうんだろう。多分。意図的に避けられてんのかもしれないが。

学校まであと10mもない。気が重くてしょうがなかった。ただでさえこないだも遅刻したのに、連続ともなるとさすがに学校側も黙っちゃいないだろう。生徒会長を解任させられてしまうかもしれない。それだけはなんとしても避けたい。あの頃に逆戻りするのはごめんだ。

「なあ蛍。」後ろを振り返って立ち止まる。蛍は歩みを止めないまま、ゆっくりと顔を上げた。上目がちなその目はいくらか眠たげだ。

「なに。」軽い足音にかき消されんばかりの声で返答が返ってくる。それでも不思議と聞き取りにくくはない。静かに権力を誇る国王のような、厳かな雰囲気をまとっている。日本で言えば天皇がそんな感じか。

「いや、えんまが生徒会に入ったこと、知ってんのかなーって。」何気なく切り出したつもりだったが、ちょっと唐突だったか。

が、蛍はそんなことを気にした素振りもなく、「あっそ。」と冷たい返事を返してきた。もう少し驚いてくれてもいいんじゃないか? 返事からすると知らなかったみたいだし。蛍が俺に追いついたあたりで、また歩き出す。すぐに距離が開いた。やっぱりわざとじゃないのか?

 

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「あっそ。」平静を装うのに苦労した。歩き出した鎌切からわざと距離をとって歩く。決して歩幅が小さいからじゃない。身長が低いからじゃない。

「えんまが、生徒会?」思わずつぶやきが漏れてしまったが、鎌切には聞こえていないようだった。依然すたすたと歩いていく鎌切。歩くの早いな……。

えんまと僕は、日本各地を回って蜘蛛の糸の布教を行っている。3ヶ月ほどでほかの学校に移るので、あまり学校には深く関わらず、ターゲットを生徒に絞って活動する。そしてあらかた教徒を獲得したら転校。その繰り返しだ。

この方法で蜘蛛の糸は日本のトップ教団に上り詰めた。子供から取り入って親を誘い込む。現役高校生のえんまが教祖だからこそなせる技だった。

その、えんまが。わざわざ計画の邪魔になるようなことをするか? 確かにまだ回っていない高校はわずか3校だが、ここに長くとどまっていてもこちらにメリットはない。

 

えんまの狙いはなんだ?

 俺にもわからない。

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学校に着くと、靴を履き替えるのが遅い蛍を置いて2階へと歩を進めた。やはり廊下は閑散としていて、俺の心の現状を彷彿とさせる。自然と口をついたため息が物悲しかった。俺って、生徒会長だよな……。

扉を努めて静かにスライドさせ、そっとを中を覗き込む。この間のように集会、なんてことはもちろんなく、クラスメイトがそれぞれの席についていた。俺はまた一度ため息をつき「おはようございます……。」向けられる視線をスルーしつつ挨拶をする。担任のGJはもともと深い眉間のしわをさらに深くしながら、俺を見つめてきた。「後藤先生、遅れてすいません。」教室に完全に入りきってからGJに頭を下げる。

するとGJは、笑みを俺に向けた。眉間のしわが刻まれっぱなしなのが怖い。

「どうしたんですか? なんか付いてますか?」慌てて制服や髪を払う。

「いや、お前が遅くなることは地獄谷から聞いていた。早く座れ、始めるぞ。」

「はぁ、」地獄谷? えんまが? なんでだ、まさか蛍はえん魔からの差し金だったとか? でも俺を遅刻させてどうする? わからないことだらけだ。だが、2度目の無断遅刻はまぬがれた。それは感謝しておこう。

 

昼休みにでも、聞いてみるかな。

斜め前の席を見やる。カーテンの隙間から差し込んだ風に、日光に。キラキラと光に透かされて、赤みがかった黒髪が揺れる。

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不思議な色だな。

俺も赤毛だけど、えんまのはどこか違う。まるで血のような赤。

 

日常から切り離された、そんな雰囲気をまとっている。

 

十一冊目fin.

よかったね、会長!!

AUTHOR: ab-kanade-love-07-01 DATE: 10/29/2012 01:26:03 よかったね!会長! そして、挿絵見て思った 風強すぎwww
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