歪曲骨家。

創作小説置き場です。

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私立永遠星学園高等部生徒会資料23

二十三冊目

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「だーかーらー! 生徒会担当は拙者でござるよ!!」「いんや、うちがやる!!」「拙者は1年間も生徒会担当を務めてきたんでござるよ!?」「ほんなら世代交代や!」「同学年でござるよ!!」「なぁ、譲ってー?」「拙者はその笑顔には引っかからんでござる!!」「柏さんは今まで十分満喫してきはったやろ!」「まだ足りんでござるよ!!」「がんこやのー!!」「貴殿もでござるよ!!」「うちは頑固ちゃうわ!!」「とにかく、新参者はおとなしく掃除でもしてるでござる!!」「なんや、掃除て!!」「新入りはみんな通る道でござるよ!!」「うわ、先輩風吹かせおった!!」「実際先輩でござるよ!!」「ぎゃーす!」「ぎゃぎゃーす!!」

廊下では、メガネマフ子とござる女子の攻防が繰り広げられていた。正直うるさい。やっぱり御食をスケ部に入れたのは間違いだったか……。でも生徒会にもう空き椅子ないしなー。えんまを入れたことで軽く定員オーバーなくらいだ。

生徒会はいくらでも役職を作れるわけではないので、一定以上の人数は入れられないのだ。会長、副会長、書記、会計、書類整理の、5役ぐらいが適当なのである。まぁ、書類整理は俺が作った役職なんだけど。これ以上増やすとなってもまず役職名を思いつかない。そしてすることがない。ただでさえハンコ押しくらいしか仕事がないのに、これ以上仕事減らされてたまるか。

と、いうわけで今朝理事長に御食の入部届けを(勝手に)提出しておいたのだが。なんだか、木白と仲いいのか悪いのかわからないという状況になってしまった。なんでもスケ部の中でも生徒会担当は1人までなようで、どちらがやるか揉めてるみたいだった。人数が増えたからってスケ部の膨大な仕事が減るわけではないようで、あまり一箇所に人員を割けないらしい。むしろスケ部にスケットを送ってやりたいぐらいなのだが、この間木白に『それじゃスケ部の意味がないでござるよー!』と、きっぱり拒否されてしまった。スケ部にもスケ部なりのプライドってもんがあるんだろう。

「じゃぁ、週交代でやるっちゅーんはどうや……?」「それ、いいでござるな……。」二人共3分に及ぶ攻防でさすがに疲れが出たのか、息が上がっている。御食はともかく、木白の息を上げるとは。御食もなかなかやるな。

ようやく終戦締結されたようで、御食はこっちに、木白は3組に帰っていった。

ようやくうるさいのから解放されたぜ。

 

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柏、柏……。さっきから探しているけど、教室の中には見当たらない。休みか、教室の外へ出かけているようだ。これは、空振りか。諦めて帰ろうとしたところへ、チャイムと同時に僕の横をすり抜けて滑り込んでくる小柄な影があった。うお、ほんとに小さい。とりあえず目的の存在は確認。今はチャイムが鳴ってしまったので次の休憩にまた来るとしよう。

僕が小さいと思われない日が来るなんて……。毎日牛乳飲んで懸垂してて良かった。これでえんまにも馬鹿にされないで済む。柏を手玉に取った暁にはえんまに自慢してやろう。えんまの驚く顔が目に浮かぶようだ。実際に見たことはないけれど。

 

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あっという間にりっくんの授業は終わり、(無論隣からは終始寝息が聞こえていた)休憩時間である。俺はぐーっと伸びをしてから、教科書を片付ける。

と、視界の端にこちらへ歩いてくる人影を見た。鈴木だ。下の名前は……忘れた。鈴木は俺の席まで歩いてくると、両手を俺の机につく。

「お前なぁ!」「なんだよ、鈴木。」「鈴木じゃねぇ、『鈴本』だ!!」「まじか、ごめん。」「本気で謝るなよ!」「いや、知らなくてさ……。」「地味に傷つくだろ!!」「ごめん、ほんとに。で? なんか用?」鈴本は一瞬目を潤ませた。そして、衝撃の事実を口にする。

「おれら中学も一緒だったろーが! 用は、アレだよ。お前最近調子乗りすぎだろ!!」「え、まじで。そうだっけ……。」「真剣に考えるなよ! おれだよ、鈴本 熊猫だよ!!」ぱんだ。パンダってあのパンダか?

「今、絶滅危惧種の名前が聞こえたんだけど……。」「うるせーなカマキリめ!! パンダの部分はどうでもいいだろ!!」「あ、それ名前だったの? 気づかなくてごめん。」「ナチュラルに傷つくわ!」「で? 結局なんか用?」さすがに鈴本も突っ込むのに疲れてきたようだ。

「お前さぁ! なんで女子と仲いいんだよ!」「別に仲良かった覚えはないんだけど……。」「リア充はみんなそう言う! 御狐さんとも転校初日から仲良くなりやがって、地獄谷さんとも仲いいし、1組の柏さんとか、4組の泉さんとも……。」「……4人じゃん。」「4人もいれば十分すぎるだろ! みんな美人だし……。ならお前、男友達の数を言ってみろよ!!」「えーっと、蛍とは仲良くもないけど、1年の森とか、あとは……。」「2人しかいねー!」「あとは、鈴本。お前。」「え、おれ?」「そだよ。パンダくん。」「パンダの名で呼ぶな!」「ごめん、鈴本……。」「だから謝るなー!!」

とりあえず無謀なやりとりは延々と続き、もう3限開始のチャイムがなっている。俺はいまだ居座ろうとする鈴本を無理やり押し返し、机の中から教科書を引っ張り出す。古典。これ以上に眠い授業なんてないんじゃないか。とりあえずは寝ないように最大の努力をする。古典はいつも点が取れないので、しっかり授業を受けねばならんのです。ペンケースから学生の武器、コンパスを取り出す。俺のコンパスはつや消しの黒で、鉛筆式だ。シャーペン式のを中学までは使っていたのだが、芯がポキポキ折れる上に薄いので買い換えたのだ。しかし、高校に入ってからはほとんど出番がなかった。寂しきコンパスさんは俺の眠気覚ましに利用されてしまうのであった。

号令が終わってがたがたと席に着く。御食は既に船をこいでいる。

そして俺は秘密兵器コンパスさんを右手に持ち、左手の甲にさっくりする。あまり深くは刺していないが、痛い。いや、痛気持ちいい。

「にゃー! 鎌切くん早まんなや!!」突然御食が悲鳴(ボリュームは小さめ)をあげる。

「え。」「いやいやいやそのコンパス!!」御食はあたふたと俺の右手に収まっているコンパスを指差す。どうやら、何か勘違いをされているらしい。

「これは、眠気覚ましのつもりだったんだけど。」「そんなん眠気が覚めるどころか、夢中になってまうわ!」え、そっち? てっきり自殺志願者と勘違いされたのかと思った。でもまぁ、違っただけ安心。でもないか。

「はわわー!」御食はまだわなわなと震えている。とりあえずこいつがうるさくて眠気が吹っ飛んでしまったので、御役御免のコンパスさんには退場していただく。

御食の震えはコンパスさんがペンケースに消えたと同時に収まる。すげえ。

とりあえず眠気は覚めたということで、頬杖をついて話を聞く。この姿勢で眠くなるのではないかといつも思うのだが、なんだかやめられない。中毒ってやつかな。えんまや木白や白水は、眠くなったりしないんだろうなぁ。

 

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家に帰ると、姉がリビングで紙束をめくっていた。それも結構大きい紙である。

「姉貴、ただいま。早かったんだな。」「あー、れおんおかえり。うん、今日は。」「それ、何?」「漫画ー。」漫画と言われたそれは、どう見てもただの紙束である。手書きの漫画とかだろうか。

「もらってきたとか?」「うん、会社でねー。」「会社?」「そー。」会社で漫画をもらう? 同僚からとか? 姉貴はよほど漫画に夢中になっているようで、返事が間延びしている上に要領を得ない。そんなに面白い漫画なのだろうか。

「姉貴、面白い?」「なかなか……、コイツは掘り出し物ー。」姉貴が目を輝かせながら漫画に向かって言う。漫画からは片時も目を離さない。相当なもんだな。

カバンを床に置いて姉貴の後ろに回り込む。覗き込んだ漫画は、まず第一にデッサンなのに絵が綺麗だった。それから特徴的な台詞回しに、コマ割り。知らないうちに引きずり込まれていく。気がつくと姉貴から漫画を奪い取って読みふけっていた。

「ちょっとれおんー。返してよー。」「あと3ページだから……!」「あたしそれ明日までに読んで感想とアドバイス書かなきゃいけないんだけどー。」「感想?」「そー。それ、今季の新人漫画家候補の。」「なんでそんなもん姉貴が持ってんだよ?」「そりゃぁ、あたしが勤めてんのは門川書店だからだし、あたしが編集長だからだけど。」「………。……は?」姉貴が門川書店勤め? 編集長? この姉貴が? なんで?

「だーかーらー。あたしが月刊スターダストの編集長だって言ってんのー。」姉貴はややふくれっ面になって、さっきと同じ内容を繰り返した。姉貴が冗談を言っているとは思えない。そしてそれもまた信じられない。総じて、マジかよ。

「じゃぁ、これ、本物?」「当たり前でしょー。」「門川書店の未来が心配だ……。」「失敬な。あたしはこれでもちゃんと働いてますー。」「嘘だろ。」「ほんとですー。」「えー……。」「えーとはなんだー。」案の定このやりとりは5分ほど続いた。

「じゃ、あたしはお仕事するので、れおんは邪魔しないでねー。」「はいはい。」俺は手に持っていた漫画を姉貴に返し、代わりにカバンを持って2階へ行く。淡々と階段を踏む音だけがあたりに響く。姉貴は、ちゃんと仕事をしているのか。しかし、少々驚きの職場である。月刊スターダスト。俺が昔愛読していた漫画雑誌。まさか姉貴がそこの編集長になっているなんて。姉貴の職業について訊いたことは今までなかったんだな、そういえば。今はもうスターダストは買っていないけど、今読んだ漫画の単行本が出たら買おうかな。あとで姉貴にタイトルを訊いておこう。

 

二十三冊目fin.

最近ホントに挿絵消失してますね……。

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