歪曲骨家。

創作小説置き場です。

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放課後ブラック

これは、あれです。小学4年生のちんまい脳でひねり出した小説のリライトです。

ちなみに改定前のタイトルは「放課後ミステリー」、何もミステリーじゃありません。

6年前のセンス、呪うわ。

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「やっぱ、あれっしょ。メイド喫茶!」「男子は何すんだよ。」「調理。」「俺らにできるわけないだろ。」「つーかぁ、なんであたしがメイド服着なきゃいけないわけ?」「じゃあお前調理しろよ。」「静かにしよー。」「やーし。爪割れるじゃん。」「言いだしっぺ何とかしろよー。」「じゃぁさー、もう普通のカフェでよくねー。」「え? マジで言ってる?」「だって、誰もやる気ないんじゃさー。」「だよなー。こっちもやる気出ないってか。」「実行委員しっかりしろよー。」「てか実行委員誰だっけ?」

「私だよ!! いい加減静まれ!」怒りに震える拳を黒板に打ち付ける。途端に何かが割れる音が響く。力が入りすぎていたのか、黒板にヒビが走ってしまった。あーあ。また怒られる。私が悪いんじゃないのに。いつまでたっても出し物が決まらないこのクラスが悪いのに。

「うわ……。」「また山中さんだよ……。」「……こわーい。」「空手2段らしいよ。」「まじで?」「マジマジ。」「うわー、こえー。」

ざわざわと、教室内の空気が揺らめく。いつもこうだ。誰かが怒ると、声は小さくなるけど、ざわめきは決して消えない。こういうところがイラつく。だから集団なんて嫌いなのに。

小学校の頃、集団下校が嫌で嫌で仕方なかった私は、空手塾に通って大人も投げ倒せるようになった。これなら集団下校の列に加わらなくてもいいと思った。先生にそのことを話してみたのに、『これは決まりだから、集団下校はしなくちゃダメ。』と一蹴された。それでも素直に従いたくはなくて、その日は一人で帰った。

案の定というか、不審者に遭ってしまった私はいつもと同じ要領で投げ倒していた。

不審者はそばにあった車に乗って逃げていって、私は一人、道路に取り残された。次の日からはもう一人で帰ろうとしても、先生たちは何も言わなかった。

力を手に入れれば、自由にしていいと思った。誰も文句を言わないと思った。

だから。だから私は強くなったのに。

ちっとも周りは言う事を聞かない。私の望む通りにならない。

「ほら、ボケっとしてないで決めるよ。居残りになってもいいの?」私がこう言うや否や、散らばっていたクラスメイトが集まってきて話し始めた。

これは私の力なんかじゃない。みんな居残りが嫌なだけだ。私のはこの場を収める力なんかない。そんな自分に今日もうんざりする。

疲れる。集団の中にいて私が感じることはそれだけだった。

「じゃ、じゃぁ結局普通のカフェってことでいいかな……?」「う、うん。」「いーんじゃない……。」「オッケーじゃね……。」

「じゃぁ、普通のカフェね。解散。散れ。」さらさらっと、登録用紙にボールペンを走らせる。そもそも何で私がこんなことしなきゃいけないんだ。寝てたからって勝手に決めないで欲しい。本当に、何も考えてないんだから。私がリーダーになればクラスがどうなるかなんて目に見えてるのに。

「じゃ、じゃぁ。」「ばいばい、山中さん。」「さよなら……。」

控えめなあいさつに無言で答え、登録用紙の記入に集中する。私に協調性なんて求めないで欲しい。登録用紙の隅っこに記載された『みんなで協力して、楽しい学校祭にしましょう。』という文が怒りを誘う。協力なんてしないのに。少なくとも私は。

記入を終え、チェックをしてから職員室へ提出しに行く。椅子をガタガタと音を立てて立ち上がり、扉を開けようとして。視界を横切った黒板に、何かが書いてある。

文字を消そうと黒板に歩み寄る。文字が書かれていたのはちょうどさっき私がヒビを入れたあたりで。さっきはこんなの無かったはずなのに……。黒板消しを手にとって文字を改めて見て驚いた。文字の羅列が、『山中 シオリ』だったからだ。

それは紛れもない私の名前で。

「ったく、誰がこんなイタズラ……!」一層イラついて文字を消そうとするが、いくら黒板消しでこすっても消えない。溝に置いてあった雑巾でこすってみても、やっぱり消えない。

「くそ、修正ペンかよっ!」いっそのこともう一度ヒビを入れて文字を読めなくしようと思ったが、文字に現れた変化に思いとどまった。

さっきまでは『山中 シオリ』だった文字が、今は『黒板』になっている。意味がわからない。ついでに気味が悪い。もう諦めて帰ろうかと思ったところで、また文字が変化した。

『黒板』が『ヒビ』。『ヒビ』が『大切に』に。『大切に』が『あなた』。

次々と変わる文字の意味を追ってみるが、全くわからない。

「言いたい事があるならはっきり言えよ!」思わず声を上げる。すると黒板の文字は少し長い文章に変わった。

『言えないけど、見せられる。』しかし相変わらず意味は不明瞭だ。

首をひねって拳の用意をしていると、文字の辺りが薄く光り出して、ピンク色の光に私は包まれる。

足がふわっと浮いて、体が軽くなる。光は肺の中にさえ入り込んでくるようで、息苦しくなって口を塞ぐ。目がチカチカする。光は弱いのに、直射日光を浴びているかのようだ。目をつぶると、瞼の裏にまだピンク色が居座っていた。頭を振ってみるが、消えない。なんなんだろう。どうして私はこんな目にあっているのだろう。意識が朦朧としてきて、口をふさいでいた手が自然と離れる。

私は、深い海に沈んでいくような感覚に身を任せるしかなかった。

 

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目を覚ますと、まだあのピンク色の光の中にいた。しかし、地面はしっかりしていてひんやりと冷たい。私はスカートを手で払いながらゆっくりと立ち上がり、周りを見回す。360°どこを見てもピンク色だった。と、思ったが、地面だけは違うようだ。地面は薄いピンク色をしてはいるが、やや半透明みたいだ。もう一度座り込んで地面を覗き込むと、何か、四角い箱のようなものが見える。四角い箱のようなものは段々こちらに近づいてきて、やっと、それが教室であることに気づく。

教室を上から見たアングルで、整然と机が並べられている。机の他には教卓と、机の上に置かれたノートパソコンがあるのみだ。

この教室の中には、生徒は愚か教師の姿すらない。しかし、時折教室のすみずみから声が聞こえてくる。若い、子供の声だ。そしてそれに応える、大人、男の声。どうやらそれらは、机の上のパソコンから発せられているようだ。

そこでいきなり、浮遊感を覚える。周りのピンク色が一瞬にして消え……。地震の状況を確認するのにそう時間はかからなかった。教室の天井から、落ちている。私はとっさに受身を取るが、それには及ばず、ふわりと着地した。

教室内のパソコン画面が見えるようになり、ようやくこの教室では授業が行われていることを理解する。

パソコン画面には、ビデオムービーとチャット形式の掲示板のようなものが表示されている。チャットは絶えず更新され、時折図形やグラフが登場する。図形やグラフのスレッドはオレンジ色に目立つようになっている。教師のスレッドのようだ。質問や回答が飛び交い、授業は白熱しているようにも見える。

これは、未来?

私は、ここに来る前の出来事を思い出そうとする。しかし、劈くような頭痛がそれを許さない。思い出せない、みたいだ。ズキズキと痛む頭を抱え、うずくまる。

教室では淡々と『授業』が行われ、生徒と教師のスレッドが次々と立ち上がる。

でもそこには、何かが、足りない気がした。

その瞬間、うだるような眠気に襲われ、倒れこむ。

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

私は気づけば自分の机に突っ伏していた。

手には学校祭の登録用紙がくしゃくしゃに握られている。少し崩れた前髪を手ぐしで直し、立ち上がる。時計の針は、とっくに6時を指していた。

ふと黒板を見ると、先ほどと同じように『山中 シオリ』と記されていた。私は立ち上がってそれを消そうとして、「あ、修正ペンだった。」黒板消しを溝に置く。

黒板の文字はしばらくすると、『山中 シオリ』から『ありがとう』に変わった。

「礼を言われる筋合いはないんだけど。」実際何がありがとうなのか全くわからない。私は黒板にヒビを入れた張本人だし、二度目もヒビを入れようとしたのだ。

なにか不可解な思いを抱えながらもう一度黒板を見ると、文字は綺麗に消えていた。

 

 

このプリントを出すついでに、先生に黒板のこと、謝っておこう。

私は、窓からの夕日も傾きかけた廊下を、一人歩いた。

 

fin.

はい、だいぶ設定が変わりました。

まず原本ではシオリには3人の友達がいました。それが今では見る影もないです。

そしてここが驚きですが、原本では先生が黒板にヒビを入れて、シオリが黒板に連れ去られました。どうして先生を連れて行かない。

まぁ、話の主軸は同じです、ほとんど。

ではまた。

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