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八月三十日『にらめっこ再び』
 八月三十日。晴れ。

「明日で最後だな。」
「そーデスネ。」
「ちょっとは寂しがってくれないわけ。」
「またすぐに来るのデス。」
「どーかね。」
 帰れるかどうかもわからないのにまた来るなんてよく言えたものだ。
「約束するのデス。」
「守れない約束なんかすんなよ。」
「守れる自信がないから約束で縛るのデス。」
「それもそうか。」
 ほれ、と言って小指を差し出すと首を傾げられた。そうか、知らないよな。
「約束するときはこうやって指切りするんだよ。」
 小指と小指を静かに絡ませる。ぷにぷにする。というかぷにぷにが邪魔で指が曲がらない。ダメじゃないか。
「……ゆーびきった。」
 もう何でもいいことにした。
「指切れたのデス?」
「切れたことにするんだよ。」
「それでいいのデス?」
「いんじゃねーの。」
「地球人は適当なのデス。」
「金星人に言われたくないね。」
 睨みあう。悔しいけど先に笑ってしまう。結局一度もにらめっこに勝てていなかった。
「やっぱりお前の真顔ダメだわ、笑う。」
「失礼極まりないのデス。」
「じゃあ笑えよ、ヒノ。」
 言ってからはっとする。何言ってんだ俺。耳まで赤くなっている気がする。開いている窓から身投げしたい。ここ一階だけど。
「笑ってほしいのデス?」
「お前全然笑わねーもん。」
「そデスカ?」
「そーだよ。」
 思案顔でしばらく固まった後、おもむろに顔をこちらに向けてニヤァっと口端を吊り上げた。つられて口角が上がってしまう。
「これでいいのデス?」
「いや……あー、うん、まあもう、いいよ……。」
 そういうのじゃないんだけどなぁ、というのは言っても伝わらなさそうだったので諦めた。明日の俺に期待。
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別窓 | 僕と君の宇宙談話 | コメント:0
201608301635
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