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歪曲骨家。

創作小説置き場です。

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八月二十五日『暇』

 八月二十五日。土砂降り。

 敷きっぱなしの布団に大の字になって、天井の木目を数える。顔みたいな模様もそこら中にあるけれど、それらとは昔友達になったから問題ない。
「……六十八、六十九。」
 当たり前だけど数は変わっていない。位置は……正確に覚えていないから変わったかそうでないかわからない。ひっくり返って枕に顎をうずめながら、今度は畳の筋を数える。
「……三千八百二十七、三千八百二十八、三千八百二十九、あー。わかんなくなった。」
 集中力が切れてどこまで数えたのか見失う。一気に萎えてしまったので畳の筋を数えるのはやめて、障子の格子点を見つめる。
「暇だなー。」
 宿題も終わってしまったし、この雨じゃ外に出るのも億劫だし、結局お客はひとりもいないし。
「そうデスネー。」
「うっわ! お前いつからそこに!」
「木目を数えるあたりからデス。」
「最初からじゃねーか。」
「そのとーりなのデス。」
「何だよお前も暇なの?」
「ハイ。」
「トランプでもするか?」
「トラップ?」
「罠じゃねーよ。カードゲームだカードゲーム。」
「カドゲムー?」
「……説明めんどくさいからやっぱトランプなしな。」
「何なのデス。」
「ババ抜きですら教えてたら一日終わってそうじゃん。」
「暇は解消されてるから問題ないのデハ?」
「あー、それもそうだけど、うーん。やっぱり楽しいほうがいいじゃん。」
「教えるのは楽しくないのデス?」
「教えるのに時間かかって結局遊べなかったら意味ないし。」
「明日遊べばいいのデス。」
「明日は他にやることがあるかもしれない。」
「ふム。」
「とりあえず何か思いつくまで転がってよーぜ。」
「そして一日が終わるのデス?」
「それはそれでいーじゃん。」
 隣に転がってきた彼女の頬をつまもうとしたが、つるんと滑ってぷよぷよの宇宙服だけがつまめた。ひんやりしている。
「何なのデス。」
「何でもねえよ。」
 不服そうに細められた瞼の中でも、左右非対称な瞳は美しく輝くのだった。
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