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八月二十二日『絆創膏』
 八月二十二日。台風。

 風がうるさくて目が覚めた。古い家だからか中の引き戸までガタガタと揺れている。寝直そうにも寝られなさそうだ。仕方なく外に出てみる。やっぱりというか何というか風が強い。風に腹を撫でられながら食べられそうなミニトマトと茄子を収穫し、倒れていた朝顔の鉢を玄関の中に入れる。倒れた拍子に蕾がいくつか潰れてしまっていた。昨日のうちから入れておくべきだったと反省する。
「ロケットなんか飛ばなきゃいいのに。」
 呟いた我儘は風にさらわれて自分の耳にすら届かない。
「もさもさなのデス。」
 のに、いつの間にか背後に立っていた彼女の声は届くのだった。やばい、聞こええいたかもしれない。
「もさもさ?」
「髪。」
「あー、風強いからな。」
 そういう彼女の髪はネックウォーマーで押さえられているからかあまり崩れていない。宇宙服を着ているからか風もまろやかなようだ。
「で、ロケットがどうしたのデス?」
「えっ、いや、ロケット、飛ぶといいなって。」
「そーデスネ。」
 ばっちり聞かれていたようだ。気まずい。
「中はいるか。」
「ハイ。」
 三和土を上がろうとする彼女の足の裏から、赤色の液体が流れていた。よく見ると外から足跡が続いている。
「お前、足!」
「何デス?」
「血出てるぞ!」
「……本当デスネ。」
「外出るときは靴履けっての。そこ座ってろ。」
「ハイ。」
 タオルと絆創膏を持ってきて座る彼女の隣に置いてから、外に出てバケツに水を汲む。バケツの水で傷口を洗って余計な水を拭き、大きめの絆創膏を貼る。
「何も埋まってなきゃいいけど……。」
 足跡の始まりにはガラスの破片が落ちていた。空き家かどこかから飛んできたのだろう。
「ありがとうなのデス。」
「礼を言う前に靴履け。」
「わかったのデス。」
 絆創膏が気になるようでずっと触っている。
「あ、こら剥がすな。」
「……わかったのデス。」
「そんなに気になるならもう家でも靴履いてろよ。」
「いいのデス?」
「治す方が先決だろ。」
「……。」
 納得したようで後ろ髪に手を突っ込んでブーツを取り出して履き始めた。待て、今どこから出したんだ。
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201608221823
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