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歪曲骨家。

創作小説置き場です。

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八月十三日『扇風機』

 八月十三日。鎌鼬。

 コードを伸ばし、コンセントにプラグを差し込む。首を伸ばして高さを調節し、カチカチと傾ける。スイッチを入れる。羽根が回転する。
「「ワレワレハウチュウジンダーーー。」」
 振動である音がさらに振動する。扇風機と言えばこれだ。宇宙空間に住んでいるのだから俺も宇宙人で問題ない。
「これは何というのデス?」
「扇風機。」
「せんぷきーデスカ。愉快デス。」
 愉快かどうかはわからないが楽しそうなのでいいことにしよう。風を受けてなびく海色の髪。ぐるぐるが引っ張られて直線になっている。
「……。」
「何デス。」
「いや、空気は通すの? その宇宙服。」
「通しませんガ?」
「じゃあどういう原理でなびいてるんだよ。」
「通しませんが、風圧の影響は受けるのデス。」
「へえ。」
「さっきの……我々は云々とは何デス?」
「あー、扇風機回すときに何故か言いたくなるんだよ。」
「それにヒノを巻き込む理由トハ?」
「ひとりで言ったら『我々』じゃないじゃん。」
「なるホド。」
 ふむふむと頷いている。素直で胸がいっぱいだ。思わず咳き込みそうになるくらい。感動で泣きそうだ。目も潤んできた。
「ばあちゃん、頼むから風上で蚊取り線香焚かないで……。」
「風に乗せた方が合理的じゃない?」
「一理あるけどひとに向けない方がいいと思うな!」
「じゃあ退けばいいのデス。」
「一理あるけど暑いじゃん!」
「一理あるのデス。」
「全理になって出直していらっしゃいな。」
 一理あるだけでは倒せないものも世の中にはいるのだった。
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